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【ケーススタディ】とある地方工務店の人事面での実情 | 人事評価制度構築・運用・定着コンサルティング|株式会社カチカ

コラム

2017.9.29

【ケーススタディ】とある地方工務店の人事面での実情

人口20万人程度の地方都市にある工務店さんのお話しです。
その工務店さんは、売上10億円、社員30名程度で、地元で地道に経営され地域の皆様の信頼を得ています。

人事制度・・・みなし労働時間制を採用。

みなし労働時間制とは、
時間外労働を計算せずに(実際の残業時間に関係なく)、給与の中に一定時間労働したもの(残業したもの)として残業代を含む制度です。

みなし労働時間制を採用している企業は、みなし労働時間に当たる給与が、
何時間分の賃金に相当するかが分かるように明示する必要があります。

また、実労働時間を管理する必要がないと思われている経営者もいるようですが、これは間違っています。
実労働時間は管理する必要があり、みなし労働時間を超過した分の残業については支払う義務があります。
また、午後10時から午前5時の間に働いた深夜労働や、休日労働などについても別途支払う義務があります。

この辺りを前提において、このケースを見てみたいと思います。

■工務店さんの人事労務面の実情
みなし労働時間制を敷いており、経営者としては、
40時間の残業代を含めた給与を支払っている(つもり)。

ここで、(つもり)と明記したのには理由があります。

この工務店さんの場合、給与の中にみなし労働時間が何時間分含まれているか、
その分の給与はいくらで設定しているかについては、社員は理解していません。
労働契約書にも明記はされていません。
そもそも労働契約書を結んでいないと言うのです。
定時は9時-18時ですが、20時以降も会社に残って仕事をすることが恒常化しています。
また、タイムカードを使ったりして実労働時間も管理していないため、
厳密に労働時間をカウントした場合に、未払い残業代が発生している可能性があります。

人事評価についても、明確な制度はなく、社長が決めていたと言います。
いわゆる、鉛筆なめなめ査定と呼ばれるものです。

■その工務店さんの人事労務面での対策
現在、2代目となる専務が中心となり人事評価制度を構築しています。
ただし、これまで鉛筆なめなめ査定で行っていた評価・査定を改め、
人事評価制度を明確に社員に提示することで、みなし労働時間制の部分も明確に示さなければならないことを危惧されています。
※本来は、明確に示さなければならないということは、ここでは置いておきます。

専務としては、20時には強制的にPCをシャットダウンすることで、実残業時間を40時間以内におさめようと考えています。

■グロスウィズが提示する解決方法
まず、専務が考えていらっしゃる20時に強制的にPCをシャットダウンすることで、
実残業時間を40時間以内におさめようとする方法は全く本質的ではありません。
このあとご説明しますが、この方法では、どこかで破綻します。
例えば、家にデータをこっそり持ち帰り作業したり、カフェで作業をしたりして、
終わっていない分の仕事の埋め合わせをするという事態が起こるでしょう。

私たちが、人事評価制度の構築コンサルティングや、働き方改革コンサルティングに入らせていただいたとしたら、
様々な施策を打ちますが、その中でイメージしていただきやすい内容をまとめてみました。

【1】タイムカードで勤怠管理をすることで、実労働時間を把握する。
ここでの注意点は、朝の早出も残業になるので注意が必要です。
例)多くの社員が毎朝始業の30分前に出社している場合。30分×24日勤務=12時間の残業。
ということは、みなし労働時間40時間含む場合は、1ヶ月24日勤務の場合、毎日18時45分に退社していたとしても、
それだけで残業時間は40時間に到達してしまいます。
まずは、実際にどれくらいの残業時間が発生しているのかを見える化する必要があります。

【2】現在構築している人事評価制度に、残業時間を月40時間以内におさめた場合にはその社員の評価を上げると明記する。
どれくらい評価するのか、具体的にどう査定に反映させるのかについては、簡単には決められないため、
個別にご相談いただければと思います。
また、マネージャーの人事評価制度には、部下やチームメンバー個々人の残業時間を月40時間以内におさめた場合に評価を上げると明記します。

人事評価制度に残業時間削減をした社員を評価するという項目を組み込むことで、残業時間は必ず減らすことができます。
なぜなら、社員は会社や経営者に評価されることに一生懸命取り組むからです。

ただし、労働生産性が変わらなければ、仕事は終わらず、お客様や他の社員に迷惑をかけてしまう可能性があります。
並行して、労働生産性を高める施策を打っていく必要があります。

【3】人事評価制度に、成果面での評価指標を入れる。
労働生産性を高めるための方法はいくつもありますが、先ほどと同様、人事評価制度に成果面での評価指標を入れることです。
これまで平均して、年間6棟の設計を担当していた建築士が、年間7棟の設計を行った場合にはこれだけ評価を上げるということを明確にすることです。

【4】人事評価制度の社員向け説明会や、導入研修の実施
人事評価制度は、現在独自に構築しているということですが、
人事評価制度で最も大事なことは運用して、定着させることです。
どれだけ立派な人事評価制度を構築したとしても、定着しなければ絵に描いた餅です。
社員は、結局実行されないじゃん、社長のうそつき、と言われてしまって、社員のモチベーションは下がります。

人事評価制度を定着させるにあたりやるべきことはいくつもありますが、
最初に気を付けることは、人事評価制度の社員向け説明会を行うことと、
導入研修を行うことです。
この説明会と研修を通じて、下記のことを理解してもらうことが、その後スムーズに運用する為に大切になります。
・経営者は自分たち社員のことを考えて、人事評価制度を構築してくれたと理解してもらう。
・どのようにすれば自分の評価が上がるのか、給与が上がるのかを理解してもらう。

【5】働き方改革コンサルティングによって、業務の見直しを行う。
並行して、業務の見直しを行う必要もあります。
私たちが提唱しているのは、1日予定の予実管理です。
毎朝、その日のスケジュールを明記します。
そして、退社時に、実際のスケジュールを明記します。
スケジュール通りに仕事を遂行できる方は、ほとんどいないはずです。

その差分の原因を分析します。
・本人のスキル不足。
・上司からの指示が曖昧で、すり合わせに時間がかかる。
・タスク外の緊急指示によって本来の作業時間が削られている。
・想定外のお客様対応の時間が発生している。
・会議の時間が想定よりも長引いている。

など、課題が見えてきますので、
その課題を解決するための具体的な施策を実施することで、
スケジュール通りに仕事を遂行することができる状態まで持っていきます。

本来であれば、まだまだやらなければならないことが多々あるのですが、
今回の工務店さんが抱えている課題に対してグロスウィズが行うコンサルティングを、
ざっとまとめてみました。

今回の事例を笑って読むことができる会社は、実は多くないと思っています。
売上500億円、1000億円の会社でも、労務管理がきっちりとできていなかったりするのが、
今の日本の実情なんです。

まだ、今なら間に合います。
私たちと一緒に、社員から選ばれる会社にしていきませんか。

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